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お彼岸日和

 二月中旬から世間を騒がせる新型コロナウィルス。学校が休校になったり大相撲や野球なども無観客興行、多くのイベントが中止、延期要請で自粛モードが蔓延している。片田舎にある零細店にはさしたる影響も感じられない。普段から静かな場所と大掛かりな集客のための企画が練られた大型施設との差は歴然だろう。危険を察知した庶民は安全そうなところに自然と心と身体が向かうようだ。それでもちょっと人の気配が恋しくなるのは、5歳のチコちゃんが教えてくれた「人間は群れで生きる生き物だから」らしい。  お彼岸前の定休日、甘夏と橙を収穫しついでに、久しぶりに自宅生垣の剪定をした。エンジンバリカンと、電動バリカンを駆使して、もさもさの生垣を平らにしていった。田舎の小さな家だけれどサザンカの生垣は伸び放題、かずらやツタが巻き付いて電線や家を覆い隠そうとしている。脚立に昇ったり降りたりを繰り返し、息が上がり始めた頃、鳥の巣を掃う寸前で気が付いた。危機一髪とはこういう時の言い回しか。周りは刈り上げてしまって鳥にとっては大迷惑に違いない。その一帯だけ刈り込みを避けてはみたものの、外敵から身を守るには心もとないが、いまさら後悔しても仕方ない。こっそり覗くと山鳩が卵を抱いていて時々外出、気付くと戻ってきている。二階の窓から見守りながら、毎朝はらはらしている。 不用意な僕の一撃で大切な命を奪う彼岸の殺生にならず無事に巣立てることを祈ります。

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